芥川龍之介の『籔の中』が好きです。
籔の中に一人の男の死体がある。
なぜその男は死んでしまったのか、証人達の証言や当事者の告白が噛み合わない。
私はこの作品を、事実(=起こったこと)は一つでも真実(=どう受けとるか)は人によって違ってくるという心の作用を書いたものだと思っています。
コップに半分入ったジュースを「まだ半分もある」と思うか「もう半分しかない」と思うかという例えをよく聞きますが、そこに一つのものが置いてあってもそれに対してどんな思いを抱くかは人それぞれ。
その思いの差異はどこから生まれてくるのかというと、それは今までの経験や記憶から与えられた価値観からで、香先生はよく「色眼鏡をかける」「レッテル貼り」という言い方をされていました。
自分では常識だと思っていることも、積み重ねてきた経験・記憶による心の作用でそう感じているだけなんです。
なので人と意見が違うのは当たり前。
その違いを受け入れて認められるようになってくると、自分のことも受け入れてあげられることが多くなってきました。
自己肯定感の低かった私がだんだん自分を認められるようになってきたのには、ヨガもそうですがこの作品も影響しています。
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